脳死・脳蘇生
Online ISSN : 2435-1733
Print ISSN : 1348-429X
総説
日本における心停止後臓器提供の将来像
小野 元吉田 泰之高砂 浩史田中 雄一郎村田 英俊加藤 庸子
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2022 年 34 巻 2 号 p. 70-75

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抄録

医療現場の負担は軽減したとは言い難いが脳死下臓器提供では法改正に沿ったガイドラインや方法はある程度明確化され,脳死下臓器提供への条件に「脳死とされうる状態」というルールが作成されたため,世界的なレベルに及ばないまでも,わが国の提供数増加に寄与したことは事実である。他方,心停止後臓器提供においては以前よりその取り組みは救急医療現場の倫理的・人的・時間的負担があり臓器提供の一つとされているが,具体的な取り組みや手段は脳死下臓器提供と異なることは知られていない。そのため心停止後臓器提供への取り組みや手段はこれまで各地域での対応に頼り,経験の多い医療機関でなければたやすい提供とはいえない状況である。今回は心停止後臓器提供の自験例を示し臓器提供の中で脳死下臓器提供とは異なる心停止後臓器提供の負担を検討する。心停止後臓器提供においては医療者の知識や対応,終末期の考え方が影響を与えることはあり得るが,さまざまな状況や疾患の異なる患者や家族の提供意思や希望において国民の権利保障からすれば脳死下臓器提供と同格の対応が必要と考えられる。心停止後臓器提供の将来像について考察し提言する。

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2022 日本脳死・脳蘇生学会
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