抄録
症例は59歳, 女性。2週間前から右上腹部痛を自覚し来院した。軽度発熱を認め右季肋部に圧痛を伴う小児頭大の腫瘤を触知した。腹部CTで肝右葉に巨大嚢胞が存在した。感染性の肝嚢胞と診断し, 経皮的嚢胞ドレナージを施行したところ大量の茶褐色の排液を認めた。ドレナージ11日後に腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術を施行。嚢胞を穿刺し内容液を吸引し, 嚢胞を肝実質近傍で切離し嚢胞壁を切離・摘出した。肝実質側の嚢胞壁をアルゴンビームコアグレーターで焼灼し, 出血・胆汁瘻の有無を確認し手術終了とした。術後経過は良好で術後第8病日に退院となった。巨大肝嚢胞に対して腹腔鏡下天蓋切除術が有効であった1例を経験したので報告する。