2008 年 33 巻 4 号 p. 562-565
われわれはこれまで,下眼瞼外反症に対して,ナイロン糸を用いてanchor sutureで外側眼窩骨膜に直接外嘴靱帯を固定する方法を行ってきた。この方法は下眼瞼の瘢痕拘縮や重力により,眼窩外側壁の骨膜が裂けるため,時間経過とともに,吊り上げ効果の減弱をきたし,外反の再発をきたしやすい傾向にあった。今回,非常に稀な高度両側下眼瞼外反症に対して,Kuhnt-Szymanowiski変法および,瞼板と眼窩外側骨をナイロン糸で固定する方法で手術を行い,良好な結果が得られた。本術式は高度下眼瞼外反症に対して有用であると思われた。