抄録
症例は85歳,男性.平成17年7月某日未明より腹痛があり近医受診.腹部単純X線写真にて腸閉塞の診断で,同日当院紹介受診となった.来院時右側腹部に圧痛があり,腹部腫瘤を触知した.腹部CTで右下腹部に3cm大の腫瘤と,この病変と連続する腸間膜の動静脈がグルグルと螺旋を描くいわゆる“whirl sign”を認めた.小腸腫瘍による小腸軸捻転の診断で同日手術を施行した.開腹すると,トライツ靱帯から約10cmの部位の暗赤色に変色した小腸腫瘍により,上腸間膜動静脈を回転軸として小腸が360度回転していたため,捻転解除,小腸部分切除術を施行した.病理組織学的には最大径5.7cm大の小腸GISTの診断で,免疫染色ではc-kit(+),CD34(+),SMA(+),S-100(+)であった.術後5年たった現在,再発は認められていない.