抄録
症例は90歳,女性.平成17年2月にS状結腸癌の診断であったが,希望にて手術せず経過観察となった.平成21年1月より肛門から腫瘤が脱出し,苦痛を伴うようになったため加療を希望し同年4月に入院した.肛門から腸管が脱出し先端に腫瘍を認め,生検で中分化型腺癌の診断であった.骨盤部CTで層状構造を示す重積腸管が肛門外に脱出し先端に腫瘍を認めた.また,胸腹部CTで多発肺肝転移を認めた.リンパ節郭清を伴わない腸切除を経肛門的に行う方針とした.腸管を肛門から引き出し切除し,口側腸管にanvil headを挿入し自動吻合器で吻合した.吻合後,腸管は小骨盤腔に自然に環納された.術後良好に経過し21病日に退院した.今回われわれは,腸重積をきたし肛門外に脱出したS状結腸癌に対し経肛門的切除術を施行したので,文献的考察を加えて報告する.