日本外科系連合学会誌
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原著
手術同意書における患者押印の必要性に関する医療従事者と患者の意識調査
浦松 雅史斉田 芳久長尾 二郎渡邉 学岡本 康中村 陽一榎本 俊行浅井 浩司桐林 孝治草地 信也
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キーワード: 同意書, 私文書, 署名, 押印, 拇印
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2012 年 37 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

【緒言】同意書は私文書であるので,署名があれば押印がなくても文書の真正を推認する点で差はない.押印欄廃止に向けて,押印の必要性についての意識を調査した.【方法】医師,看護師,患者に,同意書に関する意識等を尋ね,押印の法的意義を説明した後,意識の変化を調査した.【結果】外科医24名,看護師35名,患者20名から回答を得た.同意書押印欄の不備を経験した外科医は8名33%,看護師は18名51%であった.対処方法は,両群とも患者拇印が最多で,患者押印,家族押印が続いた.法的説明後は,同意書には署名のみ必要と考える者が増加した.医療従事者では,押印を廃止すべきとの意見が増加したが,患者では病院次第であるとの考えが多かった.【結語】同意書での押印要求は,法的に不要なだけでなく,拇印の半強制などの不適切な事項の原因になる.廃止について患者の不安の増強もなく,同意書の押印欄廃止を早急に図るべきである.

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© 2012 日本外科系連合学会
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