2012 年 37 巻 5 号 p. 990-996
症例は80歳男性.既往として75歳時胸部大動脈瘤に対しステントグラフト留置.2005年2月直腸癌に対し腹腔鏡下前方切除術.病理検査ではRs,2型,tub1,ss,n1であった.高齢を考慮して補助化学療法は行わなかった.2010年2月CTで肝S5に腫瘤影を認めた.精査の結果,他の原発巣は認めず肝再発と診断した.ラジオ波焼灼術なども検討したが,本人の希望もあり診断と治療を兼ねて切除の方針とした.より侵襲の少ない術式として腹腔鏡下手術を選択し2010年4月腹腔鏡下肝S5部分切除術+胆囊摘出術施行.側方マージンをマイクロウェーブ凝固法(MCT)で焼灼し,超音波切開凝固装置およびバイポーラティッシュシーリングシステムで止血しつつ肝切除した.術後経過良好で術後8日目に退院となった.