2012 年 37 巻 6 号 p. 1080-1085
目的;ストーマ閉鎖術における環状皮膚縫合法の有用性を検討した.
対象と方法;2004年4月より2010年6月までのストーマ閉鎖術を施行された86例のうち,単純皮膚縫合法(単純法)42例と皮下を環状に縫合する環状皮膚縫合法(環状法)44例の臨床背景,術後合併症,術後在院日数などを,retrospectiveに比較検討した.
結果;単純法と環状法の間で年齢,性別,ストーマの種類,吻合法,基礎疾患,併存疾患,ASA score,BMIについて有意差を認めなかった.
表層部手術部位感染は単純法群で9例(21%),環状法群で1例(2%)と有意に環状法群で少なかった(p<0.01).術後の在院日数においても,単純法群が中央値16日,環状法群が13日と有意に環状法群で在院日数が短かった(p<0.01).
結語;ストーマ閉鎖術において環状皮膚縫合法は,従来の単純皮膚縫合法に比べ,表層部手術部位感染を減らし,入院期間を短縮できる可能性が示唆された.