2012 年 37 巻 6 号 p. 1091-1095
乳腺原発Neuroendocrine carcinoma(NEC)は比較的稀な疾患である.今回われわれはNECの1例を経験したので報告する.症例は77歳女性.左乳房腫瘤を自覚し当科を受診した.来院時左乳房A領域に1cm大の腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診にてclassVの細胞を認め,左乳房部分切除術および腋窩郭清を施行した.病理組織所見では,好酸性細胞質を有する腫瘍細胞が,敷石状に胞巣を形成して浸潤性に増殖していた.免疫染色では,chromograninA, synaptophysinがほぼびまん性に陽性であった.WHO分類に従って乳腺solid neuroendocrine carcinomaと診断された.術後温存乳房に対し放射線療法を施行し,内分泌療法を施行中で,術後3年3カ月現在再発所見は認めていない.