2012 年 37 巻 6 号 p. 1102-1107
症例は40歳女性で,嚥下障害で見つかった胸部上部食道癌に対して,術前化学療法として5-FU/CDDP療法1クール施行後,胸部食道摘除術,食道胃管吻合術,空腸瘻造設術を施行した.病理結果は,squamous cell carcinoma(以下,SCCと略記),T3N0M0 Stage ⅡAであった.無再発で経過していたが,術後1年6カ月頃より右恥骨部の疼痛が出現し,PET-CTにて右恥骨筋転移,左腰方形筋転移,肺転移,縦隔リンパ節転移を認めた.診断ならびにQOL改善目的に右恥骨筋腫瘍切除術を施行した.病理結果は,SCCを認め,食道癌の組織と形態的類似性を認めた.食道癌術後の骨格筋転移は稀な再発様式であり,報告する.