抄録
症例は39歳,男性.下痢,嘔吐,腹痛を主訴に当院を緊急受診した.感染性腸炎の診断で緊急入院した.腹部X線検査,CT検査で腸閉塞所見を認め,胃管による減圧術と絶食,補液療法を開始した.腹痛は改善傾向であったが,腹満感は持続していた.腹部造影CT検査で,索状物による小腸閉塞が疑われ,イレウスチューブ挿入し,腸管内減圧を図った.チューブ造影検査を施行すると小腸の完全閉塞を認めたため,外科紹介された.腹腔鏡での観察を行うと,横行結腸から伸びる脂肪組織先端が小腸間膜に癒着しており,それが索状になり,小腸を圧迫し閉塞起点となっていた.鋭的剝離を行い,脂肪組織を臍部創部より体外に導出し,横行結腸腹膜垂であることを確認し切除した.術後は経過順調で退院された.開腹歴のない,腸閉塞症例で腹膜垂が原因となっていた1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.