2015 年 40 巻 6 号 p. 1164-1169
症例は58歳,男性.心窩部痛と褐色尿を主訴に来院.血液検査にて黄疸を認め,造影CTにて3管合流部近傍の結石による閉塞性黄疸が疑われ,精査目的のため入院となった.EUSの検査では3管合流部と思われる狭窄部に結石と腫瘍病変をうたがった.またERCPの直接造影では結石が強く疑われた.ERCP時の生検とENBDからの細胞診では悪性所見は認めなかった.術前に悪性疾患でないことを確認するため,SpyGlassを用いて3管合流部の観察を行ったところ,炎症によるベラークと合流部結石を認め,狙撃生検では悪性所見を認めなかった.以上より3管合流部結石の診断にて胆囊摘出,総胆管切開切石術を行った.術後経過良好にて合併症なく退院となった.EUS・ERCPで悪性を否定できない症例に対して経口胆道鏡を用いた観察や生検が有用であると考えられた.