日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
完全内臓逆位症に合併した膵管内乳頭粘液性腫瘍に対して膵頭十二指腸切除術を施行した1例
矢田 章人鈴村 和大田中 肖吾黒田 暢一麻野 泰包小坂 久飯室 勇二平野 公通岡田 敏弘藤元 治朗
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 40 巻 6 号 p. 1174-1178

詳細
抄録
症例は64歳,男性.中学生時に内臓逆位を指摘されていた.61歳時に胃癌手術を受けた際,膵頭部囊胞性病変を指摘され経過観察とされていたが,増大傾向にあるため当科紹介となった.精査にてIntraductal papillary-mucinous neoplasm(IPMN)と診断し,膵頭十二指腸切除術(Child変法再建)を施行した.術前にCT,MRI,3D-シミュレーションを行うことで,内臓逆位症に合併の頻度が高いとされる血管変異のないことを確認し,また解剖学的構造を把握することができ,通常手術と同様に安全に手術を遂行することが可能であった.術後経過は良好で,術後35病日に退院となった.今回われわれは完全内臓逆位症に合併したIPMNに対して膵頭十二指腸切除術を行った1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
著者関連情報
© 2015 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top