2015 年 40 巻 6 号 p. 1195-1198
症例は70代男性.左腎細胞癌に対し経後腹膜的左腎摘出術を施行.術後6カ月より左腰背部に膨隆が出現し,次第に増大したため当科を受診した.腹部CT検査で左腰背部に前回の手術創と一致した部位の開大を認め,同部位をヘルニア門とし下行結腸および小腸が脱出しており,左腎摘出術後腰ヘルニアの診断を得た.手術操作の及んだ周囲組織は脆弱であることが予想される一方,腹腔内ではヘルニア門周囲組織の強度は保たれていると思われたため,手術は腹腔鏡下に行うこととした.腹腔内を観察すると下行結腸がヘルニア囊に一部癒着していたためこれを剝離,ヘルニア門を完全に露出したのちComposix Mesh®にて被覆しPermaFix®を用いて全周性に左側腹壁へ固定した.
今回われわれは腹腔鏡下に修復しえた左腎摘術後上腰ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.