【目的】胸部食道切除後の胸腔ドレーン排液量は個々の症例において様々である.今回,われわれは食道癌切除再建後のドレーン排液量とその臨床的意義に関して検討した.
【方法】2012年1月から2015年4月に縦隔郭清を伴う胸部食道癌切除症例51例を対象とし,胸腔ドレーン排液量の推移,抜去日,それらに影響する因子を検証した.
【結果】胸管を結紮あるいは切除した症例の術後3日目の排液量は非結紮症例と比較して有意に多かった(p=0.029).その他の臨床的因子においては,いずれの術後病日においても有意差は認めなかった.胸腔ドレーンは原則200ml/日以下で抜去とし,術後4日目にドレーン抜去可能であったのは全例胸管非結紮例であった(p=0.022).
【結語】食道癌術後胸腔ドレーンの排液量とドレーンの早期抜去に関しては胸管処理との関連が強いことが示唆された.