日本外科系連合学会誌
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症例報告
CT画像にて術前診断した回腸憩室穿通の1例
板倉 弘明 池永 雅一松本 謙一中島 慎介中川 朋太田 勝也小西 健遠藤 俊治山田 晃正西嶌 準一
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2016 年 41 巻 4 号 p. 611-618

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抄録

症例は70歳,女性.2日前より続く上腹部痛を主訴に当院を受診した.来院時の体温は37.1度で,右季肋部から下腹部に自発痛と圧痛を認めた.血液検査で白血球は軽度上昇し,CRP15.82mg/dLと高値であった.腹部CT検査で肥厚した回腸壁外に腸間膜内ガス像と周囲脂肪織の混濁を認めた.近傍には憩室を疑う所見があり,回腸憩室穿通の診断で緊急手術を施行した.臍部正中切開で小開腹を行ったところ,発赤し肥厚した回腸を認め,同部位の腸間膜は肥厚し硬結していた.原因部位と判断し30cmの回腸を切除吻合した.切除標本肉眼所見では,粘膜面に1ヶ所の憩室を認めた.病理組織学的所見では,腸間膜内に脱出する仮性憩室で,周囲の腸間膜内に膿瘍形成していた.以上より,回腸憩室穿通と診断した.小腸憩室は稀で,なかでも回腸憩室の頻度は少なく,術前に確定診断を下すことは困難とされる.今回,術前に回腸憩室穿通と診断した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2016 日本外科系連合学会
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