2016 年 41 巻 4 号 p. 623-628
精神疾患患者は症状を正しく伝えることが出来なかったり向精神薬の影響で症状が被覆されたりすることにより身体疾患の診断が遅れることがある.それとは逆に,精神症状が消化器症状として現れることもある.そのため,精神疾患患者が何らかの身体症状を訴えた場合は精神疾患自体が原因でないかどうかをよく確認する必要がある.今回われわれは,うつ病とパニック障害のため精神科に通院している患者が腹痛を主訴に来院し,その原因が精神疾患由来ではなくMeckel憩室による絞扼性腸閉塞症であった1例を経験したので報告する.