日本外科系連合学会誌
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症例報告
脾動脈瘤を合併した胃癌に対し幽門側胃切除術と脾動脈瘤切除術を施行し,脾温存が可能であった1例
萩原 清貴 平尾 素宏西川 和宏山本 和義宮本 敦史宮崎 道彦池田 正孝中森 正二関本 貢嗣
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キーワード: 前庭部胃癌, 脾動脈瘤
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2016 年 41 巻 4 号 p. 709-714

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抄録

症例は75歳,女性.近医で貧血を指摘され,精査の結果,前庭部胃癌を指摘され,手術目的に当科を紹介受診された.上部消化管内視鏡検査で,胃前庭部小彎を中心に,亜全周性に3型進行胃癌を認め,生検でtub1を認めた.腹部造影CT検査で遠隔転移はなく,脾動脈後胃動脈分岐部に径10mmの脾動脈瘤を認めた.cT3N0M0cStage ⅡAと診断した.手術はD2郭清を伴う幽門側胃切除術を施行し,脾動脈瘤に対しては,術中に後胃動脈,脾動脈瘤中枢側,脾動脈瘤末梢側をクランプし,脾,残胃血流を確認しえたため,脾動脈瘤切除のみで血行再建を施行せず,脾を温存した.

脾動脈瘤を合併する胃癌においては,脾動脈瘤を切除し,血流を考慮し胃全摘と脾摘を行った報告や,脾動脈の血行再建を行い脾温存した報告がある.今回われわれは脾,残胃への血流が温存されていることを確認した上で,幽門側胃切除術と脾動脈の血行再建を行わずに脾動脈瘤切除術のみで脾臓を温存しえた症例を経験した.

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© 2016 日本外科系連合学会
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