日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
症例報告
小開腹併用の腹腔鏡・内視鏡合同手術を施行した胃異所性膵の1例
井上 亨悦内藤 広郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 41 巻 5 号 p. 768-774

詳細
抄録

症例は16歳,女性.上腹部痛,発熱を主訴に当院を紹介された.上部消化管内視鏡検査で幽門近傍胃前庭部大彎の異所性膵と診断された.病変のサイズが大きく症状を呈するため手術適応と判断した.腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)による胃部分切除術を予定していたが,術中内視鏡検査で病変が予想以上に幽門輪に近接しており,内視鏡下では幽門輪温存の可否についての判断が困難であった.そのため腹腔鏡下に幽門近傍の胃十二指腸を剝離授動したのち,上腹部正中に小切開を置き,病変を触知することで幽門輪が温存できることを確認してから胃部分切除術を施行した.術後は通過障害など呈することなく術後7日目に退院した.幽門輪に近接する胃良性腫瘍の切除に際して,LECSによる確認,剝離操作に加え,上腹部に小切開を置くことで適切な術式選択が可能になると思われた.

著者関連情報
© 2016 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top