日本外科系連合学会誌
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症例報告
腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した再々発食道裂孔ヘルニアの1例
林 憲吾平沼 知加志澤田 幸一郎加藤 洋介小竹 優範原 拓央
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2017 年 42 巻 4 号 p. 737-742

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抄録

症例は70歳女性.3年前に当院にて腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術,噴門形成術を施行された.術後3日で再発したため腹腔鏡下手術を行い,胃瘻を造設した.術後経過は問題なく術後2カ月で胃瘻を抜去した.同部に異状は認めないものの,その後間もなく心窩部不快感が出現した.画像検査にて再発を認め,徐々に症状の増悪を認めたため腹腔鏡下再々手術を施行した.腹腔内を観察すると腹腔内臓器と前回創部,横隔膜脚の広範な癒着を認め,これらを剝離した.横隔膜脚を確認し縫縮した後メッシュで補強した.術中内視鏡で確認すると前回形成した噴門のラップは形態を維持しており,噴門形成術は行わなかった.術後経過は良好で術後7日目に退院した.近年食道裂孔ヘルニアに対する鏡視下手術が普及しているが,再発例に対する報告は少ない.癒着のため手術時間が延長し難易度も増すが利点は多く,再々発症例においても鏡視下手術は有効であると考えられた.

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© 2017 日本外科系連合学会
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