日本外科系連合学会誌
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症例報告
Ball valve syndromeをきたした0-Ⅰ型胃癌を術中整復し胃切除を行った1例
清水 貴夫塩谷 猛小峯 修南部 弘太郎渡邉 善正渋谷 肇
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キーワード: ball valve syndrome, 胃癌
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2018 年 43 巻 6 号 p. 1027-1032

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抄録

症例は89歳男性で,食欲不振を主訴に前医で上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部前壁から幽門輪を越え十二指腸内に陥頓する腫瘍を認め,精査加療目的に当科へ紹介された.当院にて施行した上部消化管内視鏡検査で胃前庭部前壁に基部を持ち十二指腸球部に嵌頓した0-Ⅰ型腫瘍を認め,生検でGroup5,tub1であった.内視鏡下での整復は不可能であった.CTでは十二指腸球部の壁肥厚を認め,内視鏡検査所見と合わせて胃癌陥頓と診断した.

経口摂取は可能であり,待機的手術を施行した.術中所見では胃前庭部前壁の漿膜筋層が重積し十二指腸へ陥入していた.腫瘍が破壊されないように内視鏡で観察下にHutchinson手技にて整復した後,幽門側胃切除術を施行した.

今回われわれはBall valve syndromeをきたした0-Ⅰ型胃癌に対し術中に整復し手術を施行した1例を経験したので報告する.

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© 2018 日本外科系連合学会
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