2018 年 43 巻 6 号 p. 1071-1077
症例は85歳,男性.2016年8月に食欲不振を主訴に当院を受診した.高度な脱水と腎機能障害を認めた.腹部CT検査にて異物による腸閉塞を認め,イレウス管挿入と補液による保存的治療の方針となった.イレウス管造影にて小腸内に約5cm大の透亮像を認めた.過去に胆囊炎の既往があり,CTにてpneumobiliaを認めたことから,胆石による腸閉塞と判断した.3日後にイレウス管造影するも透亮像は移動しておらず,嵌頓が疑われたため手術の方針となった.単孔式腹腔鏡下に手術を施行し,嵌頓した腸管を体外に引き出し,小腸切開切石術および小腸部分切除術を施行した.異物は最大径58mmであり,分析結果よりビリルビン結石であった.胆石による腸閉塞は比較的稀であり,高齢者に発症することが多いことから死亡率が高い疾患である.今回,胆石イレウスに対し,単孔式腹腔鏡下イレウス解除術を施行した症例を経験したので報告する.