2019 年 44 巻 4 号 p. 823-827
症例は55歳男性.出血性胃潰瘍で入院加療中に血液検査でCA19-9 1,290.0 U/mlと異常高値を指摘された.腹部CTでは膵尾部に50mm大の多房性の腫瘤を認め,MRIではT1強調像で低信号,T2強調像でまだらな高信号を呈していた.腫瘍マーカーが高値であり悪性疾患を否定できず,膵体尾部脾合併切除を施行した.病理所見では囊胞は重層扁平上皮で覆われ,外側はリンパ組織により形成されており膵lymphoepithelial cystと診断した.膵Lymphoepithelial cystは稀な良性病変であるが,膵囊胞性疾患の鑑別診断の1つであることを念頭に置く必要がある.今回CA19-9が異常高値を示し,切除に至った膵lymphoepithelial cystの1例を経験したので報告する.