抄録
再灌流障害における好中球の役割を明らかにする目的で, in vitroの実験モデルを用い, とくに血管内皮細胞との関係を解析した。 ヒト臍帯静脈由来培養血管内皮細胞 (HUVEC) を120分間低酸素環境下で培養した後, 急速に再酸素化するとともに好中球をHUVECに重層し, この時に生ずるHUVECの細胞障害と好中球のHUVECへの付着状態を検討した。HUVECの細胞障害は好中球共存下で増強し, xanthine oxidase阻害剤によって抑制された。したがって, 好中球共存によるHUVECの細胞障害増強は活性酸素産生増加に起因することが示された。また, 好中球のHUVECへの付着はxanthine oxidase阻害剤により抑制され, nitric oxide (NO) 産生阻害剤であるNG-monomethyl-L-arginine (L-NMMA) により亢進した。したがって, 再灌流により増加した活性酸素は, nitric oxideをinactivateすることにより, 好中球付着を増加させたものと考えられた。