日本外科系連合学会誌
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消化器悪性腫瘍切除時のe-PTFE製人工血管による下大静脈再建の基礎的, 臨床的検討
笠野 泰生谷村 弘熊田 馨谷口 勝俊林堂 元紀中井 健裕
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キーワード: 下大静脈再建
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1994 年 19 巻 3 号 p. 70-74

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抄録

イヌの下大静脈をexpanded polytetrafluoroethylene製人工血管 (以下, e-PTFE) で置換し安全性を確認した後に臨床応用した。 基礎的検討とし, イヌ10頭の腎上部下大静脈をe-PTFEで置換し, 1, 2, 3, 6カ月後に血管造影を施行して開存を確認した後に犠牲死させて組織学的検討を行った。臨床応用として, 後腹膜腫瘍3例, 副腎癌局所再発1例と下大静脈平滑筋肉腫1例の5例にe-PTFEよる下大静脈再建を行った。 イヌ下大静脈の開存率は1カ月で100%, 2カ月で87.5%, 3・6カ月で72.5%であった。組織学的には2カ月後に内腔はすべて内皮により被われ, 6カ月後には内皮化が完成した。臨床応用では最長5年2カ月生存中で, 4例には人工血管の開存を確認できており, e-PTFEは下大静脈合併切除再建時の適材であるといえる。

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