日本外科系連合学会誌
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整容効果からみた乳頭温存手術の適応
尾浦 正二櫻井 武雄吉村 吾郎玉置 剛司梅村 定司粉川 庸三
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キーワード: 乳頭温存手術, 整容効果
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1995 年 20 巻 2 号 p. 109-113

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抄録

(目的) 整容効果判定基準としてNipple retraction score (NRS) を新たに考案し, 従来の整容効果判定基準との相関を検討するとともにいかなる症例において乳頭温存手術単独で良好な整容効果が得られるかをNRSを用いて検討した。 (対象と方法) 対象は当科にて乳房再建を併施せずに乳頭温存手術を行った乳癌100症例。NRSの測定は, 乳頭の側方および頭側変位に関してはPeznerの方法に準じ, 胸壁方向への変位は “はさみ尺” を用いて測定した。また従来の整容効果判定基準としてはHarrisらの基準を用いた。 (結果) 1.従来の整容効果判定基準とNRSはよく相関した。2.肥満度に関してはBroca係数が0未満, 胸囲は少なくとも85cm未満, できれば80cm未満, 胸囲/身長比は0.55未満, 乳房の形状は上下対称形の症例において有意にNRSが低値を示した。 (結語) NRSは整容効果の客観的判定として有用であり, 本研究の結果は乳頭温存手術で得られる整容効果予測の有用な指標となり得る。

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