外傷性膵損傷は合併症を伴うことも多く治療に難渋する外傷疾患の1つである。今回われわれはERCPにて主膵管断裂と診断した外傷性膵損傷に対して外科的手術を施行した1例を経験したので報告する。症例は19歳, 男性。河原で遊んでいて岩で上腹部を強打し来院した。入院時検査で膵損傷を疑い腹部CTを施行したところ, 膵頭部に大きさ5×4cmの内部不均一な腫瘤陰影を認めた。保存的に治療していたが腹痛が増強するため膵管損傷を疑いERCPを施行したところ, 膵頭部にて主膵管の断裂が確認され, 造影剤の流出を認めた。保存的加療は不能と判断し手術を施行した。術式はLetton & Wilson法とした。外傷性膵損傷の予後を決める因子として主膵管損傷の有無は重要であり, 必要に応じてERCPを行うことにより, 手術の必要性の有無と適切な術式を判断する上に有用と考えられここに報告する。