1996 年 21 巻 2 号 p. 170-177
この研究で著者は迷切後の刺激胃酸分泌と血清ガストリンに対する壁細胞に分布する自律神経の働きをみるために迷切後の胃における交感神経-副腎髄質系の内外分泌反応について雑種成犬を用いて検討した。選択的近位迷走神経切離術 (SPV) および腹部交感神経節切除術 (SS) を雑種成犬に対して施行し, ヒスタミン, ベタネコール, テトラガストリンを使って胃酸分泌を刺激し, 酸分泌量, 血清ガストリンに対する外因性エピネフリンの影響を調べた。その結果, SPV犬およびSPV+SS犬においてベタネコール, テトラガストリン刺激胃酸分泌をエピネフリンは抑制した。一方, ガストリンの反応性については, SS後にエピネフリン投与時の血清ガストリン反応の変化がみられ, これは酸分泌量と対応はしなかったが, 迷切後の生体の変化, あるいは潰瘍再発に関与している可能性があり, 今後検討を要する事項と考えられた。