日本外科系連合学会誌
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術前肝機能評価における血中ヒアルロン酸値・IV型コラーゲン7s値測定の臨床的意義
仁木 正己岡島 邦雄磯崎 博司石橋 孝嗣原 均奥田 準二
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1997 年 22 巻 4 号 p. 611-619

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抄録
肝疾患を併存した癌患者に対する術前肝機能評価としての血中ヒアルロン酸値および血中IV型コラーゲン7s値測定の意義について検討した。血清ヒアルロン酸値・血清typeIVコラーゲン7s値はともにICGR15値・コリエンステラーゼ値と有意な相関を示し, 血清tpyeIVコラーゲン7s値はγ-globulin値と相関がみられた。また, 血清ヒアルロン酸値・血清typeIVコラーゲン7s値がともに高値を示した症例は, 肝硬変・慢性活動性肝炎・多発性肝転移の症例であり, 肝予備能の低下が危惧された症例であった。このような症例に対して, No.12およびNo.16リンパ節の郭清を伴った癌手術を施行した患者は術後致命的な合併症により失った。特にヒアルロン酸値200ng/ml以上でかつIV型コラーゲン7s値7ng/ml以上の症例では肝線維化や肝内皮細胞障害の著明な症例と考えられるため, 術後にリンパ瘻をきたすようなNo.12およびNo.16リンパ節の徹底郭清を手控える事を考慮した慎重な術式の選択が必要であると考える。
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