日本外科系連合学会誌
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胃癌組織におけるテロメラーゼ活性と細胞増殖動態の検討
山口 紀子宮地 和人砂川 正勝
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1999 年 24 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

胃癌患者62例 (早期癌23例, 進行癌39例) について, 胃癌組織におけるテロメラーゼ活性, 増殖マーカーであるKi-67とアポトーシスとの関係について検討し, 臨床病理学的所見とも比較検討した。テロメラーゼ活性は62症例中, 48例 (77.4%) に認められた。テロメラーゼ活性の陽性率とapoptotic index (A.I.) は早期癌で各々65.2%, 2.8±1.5%であり, 進行癌では84.6%, 6.8±3.1%でともに進行癌で高い傾向にあった。また, 死亡例6例はすべてテロメラーゼ活性陽性群に含まれ, 癌の悪性度とテロメラーゼとの関連が示唆された。癌の分化度別では, テロメラーゼ活性陽性率と活性値は未分化型で60.0%, 21.5±25.6, 分化型では93.8%, 49.1±46.8であり, ともに分化型で高い値であった。分化型では癌の増殖の際により多くの分裂を繰り返している可能性が考えられた。

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