抄録
大腸癌再発による悪性小腸イレウス18例の臨床病理学的特徴を検討した。再手術時の所見より, 局所再発性 (A群), 腹膜播種性転移性 (B群), リンパ節転移性 (C群) の3群に分類され, A群が最も多かった。小腸狭窄・閉塞部位と数は, A群では回腸の単発性が多く, B群では空腸および回腸の多発性, C群では十二指腸が多かった。P, H因子は3群とも陽性例が多く, B群では, 全例がP2以上でH1以上が多く, 3群ともn因子はn3以上でstageIVが多かった。組織型は, A群では中分化腺癌と粘液癌が多く, B群では低分化腺癌と粘液癌が半数を占めた。A群では根治的手術可能例もあり, B群では試験開腹や胃瘻造設, C群ではバイパス手術が行われた。予後はA群では全例が3カ月以上生存したが, B群では全例, C群では半数が3カ月以内に死亡した。イレウス管から解放目的の手術療法は, A群やC群では考慮すべきであるが, B群では適応はないと思われた。