日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
消化器癌手術における皮下注用遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン貯血前投与に関する検討
篠塚 望小山 勇安西 春幸松本 隆渡辺 拓自上笹 直俵 英之美濃島 卓哉許 俊鋭
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 24 巻 6 号 p. 832-838

詳細
抄録

受診時ヘモグロビン (Hb) 濃度13.0g/dl未満の消化器癌手術症例29例に対し, 皮下注用遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン (rHuEPO : エスポー) を自己血貯血前より投与し (前打ち投与群), 貯血時にのみrHuEPOを投与した16例 (前打ち非投与群) をコントロール群とした。さらに, 前打ち投与群を初診時Hb濃度により3群に分類し, 貯血にともなうHb濃度の推移などを検討した。前打ち投与群全体では貯血にともなうHb濃度の低下がわずかで, とくにHb12.5g/dl未満の症例ではrHuEPOの貯血前投与によりHbは増加する傾向を示し, 貯血にともなうHbの低下は全く認めなかった。前打ち投与群および前打ち非投与群における貯血量, 術前期間は有意差を認めなかった。消化器癌手術における皮下注用rHuEPO貯血前投与は貯血にともなう貧血の防止や貯血量の確保に有用と思われた。

著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top