日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
甲状腺分化癌におけるsentinel lymph node biopsyの検討
津川 浩一郎野口 昌邦三輪 晃一横山 邦彦中嶋 憲一道岸 隆敏湊 宏野々村 昭孝
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 26 巻 2 号 p. 155-158

詳細
抄録

術前リンパ節転移が無い (N0) と診断された甲状腺乳頭癌38例を対象として, Sentinel lymph node (SLN) 生検の妥当性について術中色素法を用いて検討した。ツベルクリン針を用いて, 1%Patent blue dye, 0.2mlを甲状腺腫瘍に直接注入し, 青染リンパ節をSLNと同定し, 摘出した。さらに, 甲状腺切除ならびに保存的頸部リンパ節郭清を行い, その診断能を検討した。27例 (71%) でSLNを同定することが可能であった。部位は, Paratrachealに18例 (67%), Jugularに5例 (18%), Paratracheal and Jugularに4例 (15%) であった。個数は, 平均1.4個 (1~3個), 組織学的癌転移を16例に認めた。SLNの組織学的転移陽性率は58%で, SLN以外のLNの11%に比べ, 有意に高かった。偽陰性例が3例あり, 正診率89%, 敏感度84%, 特異度100%であった。SLN生検により非触知の転移リンパ節を発見することが可能であった。しかし, その同定率ならびに診断能ともに満足すべきものではなく, 今後のさらなる検討が必要と考えられた。

著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top