抄録
フルニエ壊疽は, 感染性壊死性筋膜炎が外陰部, 会陰部, 腹壁などに急速に拡がるもので, 未だ致死率の高い疾患である。今回われわれは肛門周囲膿瘍を契機に発症した1例を経験したので報告する。症例は46歳, 男性。2001年12月15日より肛門痛自覚。症状増悪し体動困難となったため救急車で12月24日他院に入院。両腎部および陰部は発赤腫脹し, 壊死を伴い悪臭を放っていた。腎部のドレナージと抗生剤投与が行われたが翌日には下腹部と両側腹部に炎症が拡大したため12月26日当院転院となった。同日下腹部および両側腹部に切開ドレナージおよび洗浄を行ったが, 翌日には頭側への発赤浮腫の拡大を認めたため広範囲徹底的デブリドマンを行い, 敗血症に対しエンドトキシン吸着を行った。創部洗浄処置を継続し炎症消退したため, 第36病日植皮術と痔瘻根治術を施行し, 第66病日退院となった。