抄録
進行大腸癌72例を用いて, 細胞分裂期の調節に関わる遺伝子Polo-like kinase (Plk) 1, Plk3の発現およびp53蛋白異常を解析し, その相互関連と臨床病理学的因子との関連を比較検討した。方法と結果 : 半定量的RT-PCRにて癌部 (T) と非癌部 (N) の遺伝子発現を測定し, T/N比を求め癌部での発現の指標とした (低発現<0.67≦同発現<1.50≦高発現) 。p53免疫染色は核染色率10%をcut off値として判定した。T/N比はPlk1=3.26±3.55, Plk3=1.06±0.70で, Plk1高/低発現は47/6例, Plk3の高/低発現は16/27例, Plk1同・低/Plk3高発現は1例 (p=0.0067) であった。p53はPlk1高発現例の67.4%が陽性 (p=0.0379) で, Plk3高発現/p53陰性は2例 (p=0.0131) のみであった。Plk1で年齢 (p=0.030), 占居部位 (p=0.038), Plk3で性別 (p=0.006) に有意関連を認めた。結語 : Plk1, Plk3, p53は互いに有意な関連をもち, 癌化との関与 (Plk1高発現, Plk3低発現, p53陽性で発癌を促進) が示唆された。