日本外科系連合学会誌
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肝硬変合併肝癌症例における腹腔鏡下肝切除
マイクロ波凝固装置を用いた安全な手術手技
大塚 由一郎金子 弘真高木 純人
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2004 年 29 巻 5 号 p. 857-861

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抄録

優れた凝固止血能を有するマイクロ波凝固装置 (MTC) は肝腫瘍に対する開腹下肝切除や凝固壊死療法のみならず, 非解剖学的切除が多い腹腔鏡下肝切除においても応用されている。当科では肝硬変合併肝癌症例における腹腔鏡下肝切除 (LH) 17例の肝実質切離に際しMTCを用いた。腫瘍の大きさや局在により3種類 (15mm, 20mm, 30mm) の針状電極を用い切離線のマーキングを兼ねた凝固を行った後, ブレード型あるいはボール型のMTC電極やハーモニックスカルペルを用い肝実質の切離を行った。最近では角度可変型針状電極により腹腔鏡下でのMTCの使用がより容易になった。全17例での術中出血量および手術時間の平均はそれぞれ313.5ml, 246.8分であった。実質切離時の肝門部血行遮断は通常必要としないため障害肝に対する虚血再灌流障害の点でもMTCは有利である。肝硬変合併肝癌症例に対する安全なLHにおいてMTCは極めて有効な機種であると考えられた。

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