日本外科系連合学会誌
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潰瘍性大腸炎に対するsurveillance colonoscopyにて偶然発見された直腸微小カルチノイドの1例
大澤 智徳石田 秀行猪熊 滋久中田 博横山 勝橋本 大定
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2004 年 29 巻 5 号 p. 902-906

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抄録
潰瘍性大腸炎のsurveillance中に偶然発見された直腸微小カルチノイドの極めて稀な1例を経験したので免疫組織学的検討に加えて報告する。症例は31歳, 男性。19歳時に発症した慢性持続型潰瘍性大腸炎に対し, mesalazine, salazosulfapyridineによる内服治療を行っていた。1年に1回の頻度で大腸内視鏡によるsurveillanceを行っていた。今回のsurveillanceで歯状線により約3cm口側の直腸粘膜の生検より, 偶然カルチノイドの診断を得た。再検査時には病変部を同定できないこと, 潰瘍性大腸炎のコントロールも不良であったことから, 大腸亜全摘・回腸嚢肛門管吻合を施行した。摘出標本で下部直腸に径5mm大のカルチノイドを認めた。大腸粘膜のp53 over expressionを免疫組織学的に検索したところ, 炎症所見が著明でdysplasticな変化を示す部位ではp53のover expressionを認めたものの, カルチノイド周囲では認めず, カルチノイドの発生と潰瘍性大腸炎に伴う大腸粘膜のp53 over expressionとの関係は否定的と考えられた。
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