抄録
がん終末期における緩和ケアがクローズアップされている。大学病院の外科病棟においてもがん終末期患者を診療する機会は多く, 今後も外科医が終末期医療の担い手にならざるを得ない状況が続いている。今回教室において緩和ケアに対する外科医の意識調査を行い検討した。がん患者の主治医となる外科医58名にアンケートを実施し調査した。その結果, 多くの外科医が, 急性期患者とがん終末期患者が混在する一般病棟での診療に困難を感じ (67.2%), ストレスや疲労が増すと回答した (62.8%) 。また半数の外科医はWHO方式疼痛治療法を理解していなかった。教室では, 関連施設の緩和ケア病棟での研修プログラムを新たに設け, その経験者5名が大学病院に戻り, がん疼痛時のオピオイド使用例の増加をはじめ, がん終末期患者のケアが向上した。外科医にとって基本的な緩和ケアを知ることは重要であると考えられた。