日本外科系連合学会誌
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血清, 腹水中サイトカインを用いた進行結腸癌 (T2/T3) 手術における侵襲の評価
小切開手術と通常開腹手術を比較して
石橋 敬一郎岡田 典倫長嶺 寿秋桑原 公亀大澤 智徳横山 勝中田 博権田 剛石田 秀行
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2006 年 31 巻 5 号 p. 801-806

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抄録
進行結腸癌に対する小切開根治術の低侵襲性について, 術後血清・腹水中interleukin (IL) -6, IL-8の推移を含めた各種パラメーターを用いて検討した。D3郭清を伴う, 小切開手術11例と通常開腹12例の間で, 術後経過, 白血球数CRPの推移, 血清・ドレーン排液中のIL-6, IL-8を比較検討した。小切開手術群の方が, 排ガス, 全粥開始時期が早く, 鎮痛剤の投与回数も少ない傾向であった (p<0.1) 。術後の経時的白血球数, CRP, IL-6, IL-8は両群間で差は認められなかった。第3病日まで計測したドレーン排液中のIL-6, IL-8の総量では, 小切開群で第1病日までのIL-6の総量が有意に低かった (p=0.03) 。小切開手術の方が低侵襲であることが臨床経過から示唆されたが, 侵襲の客観的指標とされる血液や腹水の各種パラメーターからは低侵襲性を強く支持するデータは得られず, 切開創の長短はこれらの因子にほとんど影響を与えないと考えられた。
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