脳卒中大国であったわが国は,1965年以来大きくその死亡率を減少させ,一方では,虚血性心疾患死亡率を増加させることなく経過して,世界一の長寿国となった.それでは,わが国は,循環器疾患対策にとってもはやすることはないのかというと,そうではない.脳卒中死亡率の低下は鈍化し高齢者の増加とあいまって,脳卒中による日常生活動作能力の低下は大きな比重を占めるにいたっている.「健康日本21」では2000年から向こう10年間の健康指標の改善目標を示し,国民健康づくりとしての指針を示した.さらに,「健康増進法」の施行により「健康日本21」の推進への法的な裏づけがなされ,その推進にはずみがついた.ここでは,「健康日本21」の推進による循環器疾患予防対策について述べる.