日本臨床スポーツ医学会誌
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慢性足関節不安定症を有する大学男子バスケットボール選手の足部形態,足部機能およびバランス能力の特徴
濱口 幹太露口 亮太仲田 秀臣大槻 伸吾
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2025 年 33 巻 1 号 p. 12-19

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抄録

慢性足関節不安定症(CAI)によりバランス能力の低下などスポーツパフォーマンスに負の影響を与えることが報告されているが,CAIを有する者の足部形態や足趾把持機能の特徴は明らかにされていない.そこで本研究では,CAIを有する者の足部形態,足部機能およびバランス能力の特徴を明らかにし,CAIの予防や改善に資するための知見を得ることを目的とした.対象は,大学男子バスケットボール選手37名(74 足)とし,その内25名(50 足)をCAI群,また,7名(14 足)をcontrol群とした.なお,CAIが片足のみみられた5名は対象から除外した.足部形態は,10%および50%AHIにおいてCAI群の方が有意に低値を示し, バランス能力としての閉眼片足立ちでもCAI群の方が有意に劣っていた. 一方, Arch Stiffness(アーチ剛性), 足趾把持筋力および足趾巧緻性は2群間に差が認められなかった. CAI群における足部アーチ低下は足部の構造的あるいは機能的脆弱性の結果引き起こされていると推察され,バランス能力が劣っていたことは下腿筋群の筋力や感覚機能が低下していることが影響している可能性があると考えられた.したがって,CAIを有するバスケットボール選手においては,足部形態やバランス能力を測定評価し,それらを改善することでCAIの症状が改善する可能性があることが示唆された.

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