中毒研究
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症例報告
メトホルミン過量服薬による乳酸アシドーシスに対して早期の血液透析導入が有用であった1例
小川 菜生子弦切 純也佐野 秀史沼田 儒志奈倉 武郎守屋 まりこ織田 順
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2023 年 36 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

メトホルミン服用患者に生じる乳酸アシドーシスを総じてメトホルミン関連乳酸アシドーシス(metforminassociated lactic acidosis,以下MALA)と称し,合併時の死亡率は高い。今回われわれは,メトホルミン過剰摂取を原因とした乳酸アシドーシスに対して血液透析の早期導入により良好な転帰を得た症例を経験した。46歳,男性,糖尿病の既往をもつ患者。来院8時間前から自殺目的にメトホルミンを計54.5 g,レパグリニドを計7.5 mg服薬し当院に救急搬送された。来院時,乳酸アシドーシス(pH 7.299,血中乳酸値10.4 mmol/L),腎機能障害を認めた。支持療法を行ったが乳酸値が上昇したため,重症化を考慮して来院8時間後より間欠的血液透析を導入した。計2回の血液透析によりアシドーシスは改善し集中治療室を退室した。本症例のようにメトホルミン服用患者でメトホルミンを原因に生じた乳酸アシドーシスでは,遅発性腎機能障害やアシドーシスによる重症化を考慮し,早期の血液透析導入を検討すべきであると考えられた。

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