2025 年 38 巻 3 号 p. 261-266
精神科疾患の既往歴がある27歳,女性。自宅ベッド上で意識がない状態で発見された。発見時,部屋には処方薬および市販薬の空包が散在していた。解剖検査では,急死を示唆する所見を示した。薬物定量検査の結果,大腿血中濃度は,デキストロメトルファン(DXM)およびジフェンヒドラミン(DPH)がそれぞれ3.6 µg/mL, 6.2 µg/mLと文献上の致死域に達しており,エスシタロプラム(ECP)が0.42 µg/mLと文献上の中毒域で検出され,これら薬剤の複合作用により急死した可能性が考えられた。現場状況から,DXMの服用量は致死的でないと推定されたが,CYP2D6阻害作用を示すDPHとECPと同時に過量服用したことで致死的な濃度に達した可能性が考えられた。また,DXMとECPの併用が致死的なセロトニン症候群を引き起こし,死亡に至った可能性も否定はできなかった。