2008 年 37 巻 5 号 p. 302-305
症例は72歳男性.閉塞性動脈硬化症の精査中に狭心症を指摘され, CT にて右鎖骨下動脈起始異常, Kommerell 憩室および胸腹部大動脈瘤が認められたため,2007年1月低体温選択的脳分離体外循環下に全弓部置換術および冠動脈バイパス術(1枝)を施行した.同年7月に部分体外循環下に胸腹部置換術を施行した.中枢側は人工血管と吻合し,末梢側は腹腔動脈直上で吻合した.右鎖骨下動脈起始異常および Kommerell 憩室を伴った胸腹部大動脈瘤の症例は調べえた限りでは認められなかった.術式の選択と治療方針につき文献的考察を加え報告する.