2008 年 37 巻 6 号 p. 325-328
症例は77歳男性.2007年6月3日旅行のため駅のホームで電車を待っていたところ突然倒れ心肺停止状態となった.妻が心マッサージを行い,目撃者が救急要請を行った.救急隊の到着後AEDを用いて除細動を行い30分後に心拍の再開を認めた.当院救急外来到着後,ICUに収容し意識の回復と心不全の改善を認めた6月11日に心臓カテーテル検査を施行したところ左主幹部病変と3枝病変を認めたためon-pump beating CABGを施行し,術後45日目に独歩で自宅退院となった.本邦での院外心肺停止後蘇生患者に対する冠状動脈パイパス術の救命報告例は稀で,われわれが調べた限りでは本例を含めて5例のみであった.