日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
心肺停止から救命しえた95歳総腸骨動脈瘤破裂の1例
河合 憲一高木 寿人真鍋 秀明後藤 新之介梅本 琢也
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2009 年 38 巻 4 号 p. 297-299

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抄録

症例は95歳男性.朝7時ごろから繰り返す意識消失を主訴に17時ごろ前医を受診した.造影CTにて左後腹膜に巨大な血腫を伴う腹部大動脈破裂と診断され当院救急搬送となった.前医出発直前に心肺停止(cardiopulmonary arrest[CPA])となり無脈性電気活動(pulseless electrical activity[PEA])の状態で緊急手術を開始した.全腹部正中切開で開腹したところ左総腸骨動脈瘤破裂であった.腹部大動脈中枢側を遮断,自己心拍での循環動態の改善を確認し可及的速やかに人工血管置換術を行った.閉腹の際に腸管の浮腫が著明でありイレウス管を使用して腹腔内の減圧を行った.術後5日目まで人工呼吸管理を要したがその後は経過良好でリハビリ施行により自立歩行も可能な状態となり,術後28日目に他院へ転院した.

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