日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
左室流出路狭窄をきたし再心室内 rerouting を必要とした両大血管右室起始の2例
南 智行松木 佑介長 知樹笠間 啓一郎岩城 秀行鈴木 伸一磯松 幸尚益田 宗孝
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2010 年 39 巻 5 号 p. 242-245

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抄録

両大血管右室起始症(DORV)や修正大血管転位症(cTGA)に対する心室内トンネル作製時には左室流出路狭窄をきたさないようにすることが重要である.Expanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)flat patchを心室内トンネルに使用し,早期遠隔期に左室流出路狭窄をきたした2例を経験した.症例1は10歳男児.DORVに対して5歳時にRastelli型手術が施行された.5年後圧較差70 mmHgの左室流出路狭窄を認めた.症例2は13歳女児.cTGAに対して7歳時にdouble switch手術が施行された.6年後圧較差55 mmHgの左室流出路狭窄を認めた.両症例に対してePTFE graftをドーム状に形成し,これをreroutingに使用した.心室内reroutingの際にePTFE graftを使用することによって長期的な左室流出路狭窄予防が可能と考えられた.

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