日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
症例報告
右内腸骨動脈瘤コイル塞栓術および空置術後慢性期に瘤破裂した1症例
馬場 俊雄森下 清文大堀 俊介氏平 功祐
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 41 巻 4 号 p. 178-181

詳細
抄録
内腸骨動脈瘤に対しては症例によってコイル塞栓術もしくは瘤空置術が施行される.今回われわれは内腸骨動脈瘤コイル塞栓術および空置術後に瘤が破裂した症例を経験したので報告する.症例は80歳,男性.2007年9月に右内腸骨動脈瘤(最大径7 cm)に対して,瘤に流入している臀動脈にコイル塞栓術を施行した.その8日後に開腹術にて右内腸骨動脈瘤空置術および腹部大動脈-右外腸骨動脈人工血管置換術を施行した.術後順調に回復し,外来通院となっていた.1年後の2008年のfollow-up造影CT上,右内腸骨動脈空置瘤に血流を認めず,瘤拡大もなかった.以後は他院に通院していた.2010年10月に突然の強い腹痛を主訴に救急外来を受診,右内腸骨動脈瘤破裂の診断にて,緊急手術となった.手術は瘤切除,右臀動脈閉鎖術を施行し,良好な結果を得た.内腸骨動脈瘤に対しては術野が深いために瘤空置術もしくはコイル塞栓術を施行する術式もあるが,本症例のように空置瘤が拡大し破裂する可能性もあるため,定期的な経過観察が必要であると考えられた.
著者関連情報
© 2012 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top