日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
胸腹部大動脈瘤術後に腰椎椎体前方に形成された骨棘により人工血管に穿孔を来した1例
織井 恒安日置 正文家所 良夫本田 二郎
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2012 年 41 巻 4 号 p. 211-214

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抄録

胸腹部大動脈瘤手術後に,人工血管と腰椎椎体骨棘との機械刺激により人工血管に穿孔を来した稀な症例を経験したので報告する.症例は75歳男性.胸腹部大動脈瘤(Crawford III)の診断下,24 mmダクロン胸腹部4分枝人工血管と20×10 mmダクロンY型人工血管(ともにGelweave,Vascutek)による人工血管置換術を施行し,第20病日に軽快退院となった.第22病日に腰痛を主訴に外来を受診した.CTにて人工血管同士の吻合部周囲に血腫を認め,その近傍より造影剤の漏出を認め緊急手術となった.開腹所見では,吻合部から2 cm中枢の4分枝人工血管後壁に約2 mmの穿孔部を認めた.同部は腰椎椎体前方に鋭利に突出した骨棘が接している部位と一致し,その骨棘との機械的な接触刺激によりダクロン人工血管に破綻を来たしていた.手術は穿孔部を直接縫合閉鎖し,新たな人工血管で穿孔部を全周性にラッピングした.

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