日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
遺残坐骨動脈慢性閉塞症に対する下肢血行再建術の経験
細田 進磯村 彰吾椎川 彰
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2013 年 42 巻 6 号 p. 462-465

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抄録

遺残坐骨動脈は稀な血管奇形であり,頻度は0.01~0.06%と報告されている.今回われわれは遺残坐骨動脈慢性閉塞の1手術例を経験したので報告する.症例は59歳,女性.約50 m歩行での左下肢間欠性跛行を主訴として当院を受診した.来院時,左下肢の膝窩動脈,足背動脈,後脛骨動脈の拍動は触知しなかった.Ankle brachial index(ABI)は右1.05,左0.65であった.CT検査および血管造影検査では左内腸骨動脈より遺残坐骨動脈が認められ,直接膝窩動脈と交通していたが,坐骨レベルから左膝窩部まで閉塞していた.また,左浅大腿動脈は低形成であった.以上より完全型左遺残坐骨動脈の慢性閉塞による下肢虚血と診断し,血行再建術を施行した.手術は自家静脈グラフトを用いて,左総大腿動脈-膝上部膝窩動脈間バイパス術を行った.術後経過は良好で,ABIも左0.89と改善が認められた.

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